DIARY

12月2日

フロントページをちょっと変えてみた。前回、今回どちらの漢詩も、実はまだ大学時代に戯れ言でふりがなを振ってみたものだ。あの頃に読んで、半ば共感、半ば憧れを抱いたのだけれど、四十になった今、共感どころか、そのままの生活を送っている。憧れの人生を私は実現できたということで、喜んでいいのでしょうか。
 

12月7日

カヤックのロデオ世界選手権の取材が終わった。今回の取材中、目の前で女の子が溺れて亡くなり、いろいろなことを考えさせられた。やっぱり、やりたいことができる内ににやりたいことをやっておいた方がいいよな、ホント。

三年近く前に買ったマックは、パフォーマシリーズという初心者入門用のやつだった。それを、CPUを160MHzから240MHzのG3に換え、HDを1.6Gbから13.5Gb(7200rpm)に換え、モデムも28.8kから56kに換え、その上さらに今日、CPUを280MHzにクロックアップした。理論的には、バススピードの8倍の320MHzまでクロックアップできるそうだが、さすがにそれは恐くてできない。
それにしてもこれって、車のチューンアップ、特に昔流行ったサニーやスターレットに手を入れるのに似ていると思う。キャブレタを換え、プラグリードを換え、コイルを換え、ヘッドライトを換え、サスペンションを換え、揚げ句はボアアップまでしたりして。
やっぱ、人生、スピードっすかねぇ。

 

12月10日

一昨日、トンガリロに釣りに行った。水温15度。この間のポイントに行ったら、結構真新しい足跡がある。で、鱒を何尾か見つけたけれど、皆落ち着きがなく、右往左往していた。それで、水棲昆虫漁りに切り替える。改めて認識したのは、とにかくC.humeralisがいかに多いかということ。大きさといい、数といい、ゴロタ石の転がる川では、これが鱒の重要な食料になっているのだろうなと思う。
しばらく登った本流で、それでC.humeralisのダンを投げてみた。別に魚が見えていたわけではない。突然下から、ぬぼーと鱒が浮き上がって、じっくりフライを見て消えてしまった。それで、グリーンビートルに換えるも反応なし。カディスにしたら、すぐに釣れた。

カヤックロデオ全日本チャンピオンの貝本さんと、女子チャンピオンの石田さんが遊びに来て泊まっていく。明日は、一緒に漕ぐつもり。色々と教えて貰えると嬉しかりけり。

 

12月13日

これまで、我慢に我慢を重ねて読み進めてきた今道知信「自然哲学序説」。とにかく読み終えてしまおうと、今日一日仕事をしないで活字を追う。が、半分も行かないうちに、投げ捨てた。タイトルに「自然」とあるくせに自然科学がすっぽり抜け落ち、「哲学」と唄っているくせに全く非論理的な話の進め方にとにかく呆れる。思いつき、頭に浮かんだことをただ、だらだらと書き連ねているだけ。酷いにもほどがある。
過去20年間で「投げ捨て」の刑にあった三番目の書物として、栄誉ある「絶対誰が読むもんか」著者リストに載せる。ちなみに第一号は、俵万智「サラダ記念日」、二号は高野健三「旅と溪」。

一昨日、7カ月ぶりに、カヤックを漕いだ。リハビリということでカイツナ川のホールで遊ぶ。久しぶりの割には、なんとカートホイールが回った。やったと喜んだのだが、その場にいたのが全日本男子チャンピオン、女子チャンピオン、世界チャンピオンなどそうそうたるメンバーで、みんなぐるぐるパドルもなしに回るので、あんぐりして見つめるばかり。うまくなりたいっす。

トンガリロ川にC.Humeralisを見にいく。腹側の色が知りたかったのだ。泳ぎの不得意なこいつは、背中側に尾っぽをぎゅっと曲げて流れることがある。それをキールで巻こうと思ったのだ。今日は朝からの激しい雨で、ちょっと濁りが入っているので、明日か、明後日あたり、このフライを持って釣りに行ってみよう。

 

12月16日

昼飯の後、ツランギまで買い物に行った帰り、国道の橋のすぐ下でカヤックをする。どうにか乗れるだけの小さなウェーブでサーフィンを30分ほどやって帰宅。これって、結構いい感じかも。これからしばらくはこのパターンで遊ぼう。ちょうど昼休みに皇居の周りをサラリーマンがジョギングしているようなもんだ。帰宅後は、引き続き仕事。「釣り師の言い訳第二十話」の資料集めをインターネットでやる。

夕飯後、トンガリロに夕マズメをやりに行った。水温十六度。見た目の状況はいいのに、待てど暮せど、ハッチがない。ごくごくごくたまに、カゲロウとトビケラが出るくらい。産卵中と思われるトビケラが水面をどたばた叩いていたら、可愛いニジマスの子供が飛び出て食った。
結局、トビケラで、小ぶりニジを釣っただけで終わる。九時帰宅。
場所が悪かったのか、それとも今日は全般的にこんな感じだったのか。
家に帰ってから、トビケラのラーバ、ピューパ、アダルトを巻く。
明日は、牧場の川か、ランギタイキに行くつもり。
仕事? あははは、聞くなってばさ。

 

12月17日

メモリとアップグレードカードがこれまで32M、64M、G3カードの順で並んでいた。これだとG3カードのヒートシンクが64Mのメモリにぶつかっていて放熱効果などがちょっと気になっていた。それで、順番を変えて、64M、32M、G3カードの順にした。32Mカードは64Mの半分だから、ぶつからないし風の通りも良くなる。というわけで、ヒートシンクの冷却効果も良くなるはずだと、これまでためらっていた300MHzにクロックアップした。320MHzにしたら、起動しなかったので、これがこの機械の限界。

そんなことをしていたので、ランギタイキ川に着いたのは午後三時。五時にはタウポに戻らなければならなかったので、ほとんど釣りをしている時間はない。で、前回ここで蹴散らしたブラウン2尾に再度挑戦。あっけなく、再び蹴散らす。何やってんだ、俺。
その辺の水草をがさがさやって、ニンフを集める。デジカメで写真を撮って、家に帰ってから本と見比べるが、同定できない。多分、属くらいまではあってると思うんだけれど。

夕マズメにトンガリロに行く。昨日の所より、3キロほど上流。水温15度。ハッチもなく、ライズもない。一時間水面を見ていて、ライズはたったの2回。九時ちょっと前に諦めて帰る。
まだ、水温が低いのかなぁ。

 

12月20日

昨夜は、カヤックの貝本君、石田さんに、帯畜の妹尾君、それから、オークランドの佐藤君と幸子ちゃんが泊まっていった。カニ鍋だったので、賑やかにして豪華な夕食。貝本君、石田さんは今日の飛行機で帰国。佐藤君達は一夏クイーンズタウンに島流しの刑ということで、しばらく会えない。一緒に釣りに行けないのは残念なり。

ツランギの街にクリスマスカードを出しに行った帰りに、トンガリロ川でジョギングサーフィン。貝本君がロブソンのパドルを置いていってくれたので、早速試してみる。今まで使っていたロブソンの物より短くて、角度も浅い。でも実際に使ってみた感じは、あまり違いが判らなかったりして、、、。

「釣り師の言い訳」第20回、なかなか取り掛かれない。大まかなネタはできているのだけれど、細部が全く見えてこない。今週中にどうにか半分くらいはやっつけておきたいと思っているんだけどなぁ。

 

12月22日

うわっはっはっは。没だ、没だ、没だ。没原稿だぁ!フライフィッシャーの「釣り師の言い訳第19回」、年末進行で19日の締め切りでお願いしますと言われたので、はいはいはいと10日に渡しておいたのだけれど、昨日21日になって急に書き直してくれと言われた。
あれを直せ、これを直せと言われて直すうちに、ストーリの核そのものを変えて欲しいと言うではないか。おいおいおい、そこを変えちゃ何にもならんじゃないの。どうしてもこのままじゃ通りませんかと聞いたら、駄目だと言われてしまった。
と言うわけで、名誉ある没原稿第一号である。でもあんまり悔しいので、ここで後悔、じゃない、公開してしまおう。
題して、没になった原稿の海、没原海だ。
おかげで急遽新しい話をでっち上げなければならなくなった。クリスマスなんて浮かれてる場合じゃないぞ、これは。
ちなみに、没が決まったのはついさっき。おっと、もう夜中の12時を回って、1時だってさ。っつう事は印刷所の締め切りまで、あと72時間。そんなんで、新しいお話を一つでっち上げろってか?

だはははぁ!

 

12月23日

分かってます。こんなところでこんなもん書いてる場合じゃないなんて。言われなくとも百も承知です。あと48時間しかないのに、まだ全然できてません。お話の全体的なイメージは浮かんできたのだけれど、話を結末まで持ってゆく仕掛け、落ち、言うなればストーリーの核、そうです、アイデアが出てこないのですよ。
がるるるるる。困った。
で、これが終わったら、すぐにJOYFUL春号の原稿、24枚。
で、その次は、言い訳の第20回目に取りかからなければ、、、。

ついこの間まで、仕事がなくて、ぶらぶら釣りだ、うはうはカヤックだと遊び呆けていたのが嘘みたい。
やっぱ、言い訳の25枚、没は痛い。精神的にも、時間的にも。

"Guide to aquatic insects in New Zealand"を買おうと思ったら絶版なり。それで仕方なくアマゾンと、本の発行元であるEntomological Society of New Zealand にメールを打っておいた。手に入ると嬉しい。

ああ、それにつけても、遊びたし。

 

12月24日

フフフフ。あと二十四時間なり。どうにかこうにかアイデアは浮かんだけれど、どうにも自信がない。こんなんで皆さんに喜んでいただけるんでしょうか。こんな話でウケるんでしょうか。

島崎憲司郎さんから手紙と額をいただいた。島崎さんのフライを絵はがきにして、それを綺麗な額に収めたもの。
あ、ちゃんとサインまでしてあるじゃんか。う、う、すっげぇ嬉しいっす。
23/50と書いてあるから、世界中で、たったの五十枚しかない貴重な品だ。となると、高く売れる!
嘘です、嘘です。売ったりなんかしません。しっかり飾らせていただきます。第一、僕の名前も入れていただいているので、売ったらすぐバレちゃうし、、、。
同封の手紙に、拙文「釣り師の言い訳」を読んでおられるとのこと。
うひゃぁ。そんなことを知ってしまうと、余計に今書いているものがどうしようもないものに思えてくる。没になったやつの方が、まだいいと思うんだけど。

それはともかく、もう十九回目だというのに、いまだに読者にウケているのか、どんな人が読んでいるのか、全く分からない。反応がない。だから、こうして、「読んでいますよ」とおっしゃってくださる人がいると、非常に嬉しい。

 

12月26日

とりあえず、「言い訳第十九回」の原稿を送った。本当にとりあえずの原稿で、今回に限り、全く自信なし。書いておいて、その本人が言うのもなんだけれど、駄作で、手抜きと批判されても何も反論できない。
もし、何か言えるとしたら、すいません、時間がなかったんです。

昼過ぎに、犬の散歩がてら、女房とヒネマイアイア川に行く。
もともと釣り竿も持って行かなかったんだけれど、とりあえず川面を鵜の目鷹の目で探ってみる。
ハッチもなく、ライズもない。魚影もなし。ちと寂しい。
山菜取りのつもりで、辺りに生えているシダの芽をひたすらむしり取る。充分アクを抜けば、かなり美味しく戴ける。

今回の、原稿没事件で、いろいろと考えさせられた。もっともっと面白いものを書かねばいかん。言い訳はしない。逃げもしない。ひたすら打ち進むべし。ちくしょうだぜ、全く。

 

12月28日

JOYFUL春号の原稿に取りかかる。それにしてもいい天気。周りの家には、バカンスで人が沢山来て、遊んでいる。いいよなぁ。俺も遊びてぇよぉ。釣りに行きてぇよぉ。
ま、しかし、これも仕方あるまい。とにかく年内にこの原稿をやってしまえば、正月過ぎはゆっくり遊べるだろう。

「釣り師の言い訳第19回」、送ったものでOKとのこと。面白いとも言われる。うーむ、全くわからん。書いた本人が、「これって、落語の焼き直しの、かなりの手抜き」と思っているのに、、、。
とにかく、次回、第20回はもっと面白いものを書かねばなるまい。

スクロールしてもバックの絵が動かないようにしてみた。このタグ、IEでは効くけど、ネスケで見ている人にはなんのことだか分からないのよね。普段、私もネスケでネットに繋いでいるので、これまでにもいろいろなページで、IEだけに効くタグって奴に出会ってきたのかも知れない。ちと、悔しい。

 

12月31日

いやはや、なんとも大みそかですな。JOYFUL春号の原稿はいま送り終わった。取りあえず、これで急ぎの仕事は全部済んだ。ほっと一息。
それにしても、釣り行ってねぇじゃん。いかんよ、チミチミ。
この正月休みはどうせ、たくさんの人があちこちに行くだろうから、少し外すとしようか。近所のトンガリロなんか灯台下暗しで穴場かもしんない。
年が明けてしばらくしたら、海にカーワイを釣りに行くのも良いな。フライで釣れて、まぁまぁ食べられて、しかもこの時期なら卵が入っているはず。一粒で、三度美味しいわけだ。

フライの雑誌48号が届いた。投稿した原稿は載らなかった。載らなくても、これは当然だと思う。書いた原稿自身にどれだけの面白さ、興味深さがあるかといえば、ほとんどないからだ。あれは、あくまでも斉藤令介氏の記事への反論、つまりアレと組みになって初めて意味がでるものだ。そんなものを編集者が捨てるのは、当然のことだと思う。で、没になったとはいえ、前回の没原稿ほど気にならない。でも没は没なので、没原海に眠ってもらう。