トラウトバム日本語版        

DIARY

9月3日

月が変わったので、ツキも変わるか?と、一昨日、黒木さん、根岸さんとトンガリロ川に釣りへ出かけたのだが、一尾かけただけ。それも、小さいなと思った瞬間にばれてしまった。仕事はないわ、魚は釣れないわと、このところ至れり尽くせりである。なんとかして、流れを変えないといけませんな。

最終回の「言い訳」は、やはり最後を飾るに相応しいなにかを盛り込みたい。そう目論んでいるのだが、なかなかこれというアイデアが浮かばない。しかし、時間的な余裕もあまりない。来週月曜日に送っておかないと、その後の予定からいって、二進も三進も行かなくなってしまう。ぎしぎしと頑張らねば。

ソルトウォーター用にしばらく前に作った8-9番の竿を出してみたら、なんと、ガイドのラッピングが数箇所で割れている。慌てて剥がし、糸を巻き直した。あとはコーティングをするばかりだが、なかなかこれがどうしてはかどらない。って、ただ単にやらないだけの話なんだけど。実は、10月頭に一週間ほど、フィジーで海釣りをやるつもり。一緒に行くのは、前回トンガでも同行したダルマおやじ。トンガの復讐なるか。

仕事もない、金もないのに、ちゃんと酒を飲み、釣りに行くのだから、我ながら大したものだ。というか、世間を舐めてんでしょうかね。

9月5日

インターネットで調べものをしていて、ふと、思いついた。僕の本がどれくらい売れているかの実売部数は、返本が書店から出版社に戻ってくる1月まで分からないとしても、今現在の売れている勢いは、わかるのではないか。そう、ランキングの上下だ。それで、アマゾンのランキングを見てみることにした。7月の売り始めすぐは、62,000位くらいだったのだが、その後どうなっているか。こわごわ覗いてみる。と、おお、14,796位。上がっているではないか。しかし、これだけではいまひとつ情勢がつかめないので、同じ時期に同じ出版社から出された他の本二冊と比べてみると、お、私の方が上だ。ふふふ。ついでに、「ニュージーランド」というキーワードで検索したら、208冊もの本が出てきたので、売れている順で並べてみる。やった、2位に食い込んでいるぞ。しかも3位との差より、1位との差の方が小さい。
励みになります。お買い上げくださった皆さん、どうもありがとうございます。頑張って、「言い訳」最終回の原稿を書こう。

ようやく、竿にコーティングをかけた。もう2,3日待ってから試し振りをするつもり。以前、固まったと思って振ってみたら、ラインの後がくっきりと付いたことがあるので、同じ失敗は繰り返しません。それから、カタクチイワシフライも巻かないと。

9月8日

これまで「言い訳」を書くときは、結構やりたい放題やらせてもらい、とりあえず累に出られればラッキーと思っていた。だから、バントもしたし、振り逃げもした。もちろん、三振もある。けれど、今回は違う。もうあとが無いのだ。この試合で球団から放出されてしまう。この次、どこか別の球団が拾ってくれるかどうか、それすら分からない。それで、せめて最後の打席くらい、なんとか格好良く、オッと言われるような大きなやつを出したいと、当たり前だけれど考えてしまう。しかし、その気負いが強すぎて、何もできずにいる。
1.一発狙いで大振りをする。
2.手堅くバントで累に出る。
3.どちらとも決心ができず、見逃しの三振。

3だけは避けたいよな。

9月12日

「言い訳」最終回を書き終えた。これまでとはかなり違う仕上がり、内容になっている。バントはしなかったし、見送りの三振でもない。今は、ただ、没にならないことを祈るばかりだ。

最後ということで、妻と二人で祝杯をあげる。祝うべきことなのかどうかは分からないけれど、とりあえず新しい出発である事は確かなのだから。
テレビをつけっぱなしで音だけ小さくしてぺちゃぺちゃしゃべっていたら、BBCニュースが突然、燃え盛るWTCを映し出した。飛行機がビルに突っ込んだとアナウンサーは言っている。管制塔のミス?事故?ええ?何があったんだと見ている目の前で、二機目がビルに激突した。妻も僕も、自分で見たものが信じられない。「あれ?今、飛行機、突っ込まなかった?」「うん、でも、ええ?」アナウンサーが何も言わないので、目の錯覚、いや、でも確かに見たなどと思っているうちに、ようやく二機目の飛行機のことにアナウンスが触れたのだった。

「言い訳」最終回は、まぁ、人生いろいろあるし、問題もたくさん抱えているけれど、できることからなにかしようよという話だったのだが、そんなちっぽけな希望、決意、勇気、努力を、あの飛行機は、粉みじんに吹き飛ばしてしまう。
普段僕たちはまったく意識していないのだけれど、どこでどのような生活を送るにせよ、政治的存在であることからは逃れようがないのだなと改めて認識。

9月19日

アマゾンの売り上げランキングに一喜一憂する日々。ああ、お願いだからたくさん売れてください。

仕事がない、仕事がないと騒いでいたら、二件立て続けにお声がかかる。一つは翻訳、もう一つはテレビのお仕事。すごく嬉しい。しかし、しかぁしだ、どちらも断らざるを得なかった。なぜなら、私は今日から3週間、フィジーに行ってしまうのだ。一週間はシーカヤック、もう一週間は釣り、そして残る一週間は移動と飛行機待ち。これが頼まれた取材ならまだいいのだが、どちらもこちらからの売り込み記事。つまり出来上がりが悪ければ買ってくれない。となると取材にかかる費用はすべて自腹だから、あえなく討ち死にの可能性もあるわけだ。ううむ。これなら家にいて、翻訳とテレビのお仕事をしていたほうが確実に収入に結びつくじゃん。

金はなくとも、遊ぶ。仕事はなくとも、釣る。
この言葉を胸に出かけてこよう。

ハイジャックの恐怖にもめげず、飛行機に乗る。
乗るのは、倒産するかも知れないNZ航空。
行き先は、クーデターの国、フィジー。
一体なんのために?
すべては釣りのために。
まったく、正当な理由である。

上の文章を友達二人(KiwiとOZ)に送ったら、とても受けたのでここに和文を転載。

では、言って参ります。帰国は、10月11日です。