DIARY

1999年
9月24日

実に、二年ぶりのホームページ更新なり。前回は、あっちこっちに釣りに行ったレポートをと勇んで始めたものの、たったの一回で立ち消え。ま、誰にも教えていないページだから、いっか。
来週から、いくつかの川、湖が解禁になるなり。どこに行こうか、ただいま思案中。
昨日は、トンガリロ川に散歩がてら出かける。ヘビーニンフの釣りはそろそろ飽きてきたので、ドライフライだけしか持っていかなかった。
川底に、六〇クラスの鱒があそこにもここにもへばりついている。魚も私もお互いに無視。
しばらく歩き回って、ライズを探す。水温は10度、ハッチはない。去年の洪水でポイントがすっかり変わってしまっている。今年の夏の夕マズメポイントを見つけるつもりで河原を歩く。で、結局、竿は振らずひたすら歩き回っただけに終わってしまった。駄犬も私もぐったり。

おまけ
Tシャツとか、あるいは枕カバーなんかに、「LOVE」とか「PEACE」とか言葉の意味よりも見た目のカッコ良さで英語がプリントしてあったりする。英語を母国語とする人から見たら、結構これって笑えるらしい。ということを、これを見て実感した。
枕にこんなこと書かれちゃ、眠れないかも。

9月29日

夕べはちょっと飲みすぎて、頭ぐるぐる。朝起きると、雲一つない青い空。それで、釣りに行くことにした。ランギタイキ川に着いたのは昼ちょっと前。ま、いつもの調子だ。水温、13度。ライズしている魚を二尾見つけるが、見事どちらも蹴散らす。はははは。大丈夫か、俺。
あまり川の調子が良くないので、そのまま運河に場所を移した。水温、15度。相変わらず、ここの魚は手ごわい。やっとドライで一尾釣ったさ。まあまあのブラウン。それから後は、次から次へと魚に逃げられる。フライを見るよりも、ティペットで気づかれているような気がする。しゃがみ込んでキャストして、フライから魚に行くようにニンフを流して、もう一尾。対岸ではルアーの親子が2尾ほど釣っていた。
次回までの宿題。ちゃんとフライを巻いておくこと。釣りに行くときは、ティペットを忘れないこと。

家に帰って日本に電話をする。ニュージーランド航空の機内誌の仕事が入る。ラッキー。が、次に電話した双葉社では、予想した通り、小説推理の連載は今年一杯とのこと。げげげげ。収入がぁ、、、。何とか、仕事を探さないといかん。釣りとかカヤックとかやって遊んでいる場合じゃねぇ。と思いつつ、この金曜日はまた釣りに行っちゃおうかなとか考えている。解禁日だし。

10月4日

釣り人社の「フライフィッシャー」に連載中の、「釣り師の言い訳」第17回分を書き終わる。我ながら、よく続くよな、まったく。と思うが、これを書かないことには、お金が入ってこない。シャワーを浴びつつ、またネタを一つ思いつく。この間も、確かシャワーの中だったような、、、。

神様お願いですから、これが一冊の本に纏まりますように。パンパンと。そんでもって、日本の釣りをしている人が、みいんな本を買ってくれますように。パンパン。んで、できたら、一人10冊くらい買ってくれると嬉しいかなとかなんとか。もごもご。


10月6日

オークランドから佐藤君が来た。いつものように、明け方に家に到着して、起きだしてきたのは十時過ぎ。お互いに、釣りに行くぞぉという気負いは全くない。朝飯を食べ、コーヒーを飲んで、家を出たのが11時半頃。釣り場には、12時過ぎに着く。牧場の中を流れる小川。牧場主と喋っていたら、今年は、去年に続いて魚の数が少ないという。去年この川にガイドに連れられてきた釣り人の数はのべ64人とか。魚が少なければ、釣り人も少ないのは世の必定。他に釣り人は全くいないので、これまたいつものことながら、私らの貸し切り。取りあえず、準備をして釣り上がる。
確かに、彼の言う通り、魚は少ない。それでも、ドライで遊ばせて貰った。いやぁ、久しぶりにがっちり遊ばせていただきましたでございますよ。水温16度でいい感じだったのだが、ハッチは無し。イトトンボにジャンプした鱒を見つけ、10番のイトトンボパラシュートでいただき。イトトンボ大活躍。イトトンボ様々。しかし途中から、イトトンボでは出が悪くなる。特に水面直下でニンフを食っていて、しかも時折ライズする30センチほどの若造に遊ばれた。笑われた。そっぽ向かれた。鼻であしらわれた。ちっくしょうということで、フライを取っ換え引っ換え粘ること小1時間。ようやくかけた時は、どんだけ嬉しかったことか。女の子が、ジーパンをずりずりと脱ぎおろして、そのジーパンが膝下に溜まっている。その上に柔らかいふと腿が、、、という情景をイメージさせるイマージャできまり(ってどんなフライだ)。

10月7日

佐藤君に借りた「フライの雑誌」47号を読む。斎藤令介氏の「天国への階段」には 呆れた。こういう輩が、南半球にいなくて、つくづく良かったと思う。「隠れ、去る」隠去をしたのなら、わざわざまたこちらの世界に帰ってこず、そのままどんどん階段を昇って、とっとと天国に行って欲しいものだ。読者投書欄の濱田健夫氏の「女、子どもは」発言も同罪。こういうのを見ると、本当にガイドを辞めて正解なりと思う。こういう馬鹿相手に、お金のために尻尾を振らねばならないのでは、あまりにも自分が情けなさすぎる。
自分の釣りのスタイルが、正統、かつ最高のものであると信じきってしまい、それ以外を見下す態度!もし産卵床を踏み荒らす釣り人がいるなら、事情を説明し、踏まないようにして貰う方が、魚のためになる。それをしないで、「馬鹿はこれだから」と愚痴ばかり。
大体「ほとんど自然界に違和感を与えないアップストリーム・キャスト」って、一体どういう意味だ?
蛇足に付け加えるならば、アインシュタイン(1879−1955)とマリリン・モンローの逸話は、他にも劇作家のオスカー・ワイルド(1854−1900)と女優のバージョンがある。生没年が早く、かつ毒舌家として知られていたオスカー・ワイルドの方が、オリジナルではあるまいか。
それと、確かヘミングウェイって、釣ってボートの近くまで来たサメをライフルで撃とうとして、誤って自分の足を撃ったんじゃなかったけか。こういう人のいる倶楽部なら、斎藤令介氏も入る資格は充分にあるだろう。

10月9日

斉藤令介氏の「天国への階段」に対しての反論を書いた。フライの雑誌社に送ってみる。採用されたら、嬉しい。もし駄目なら、このページに載せちまおう。
個人の好みをあたかもそれが最上であるかのように他人に押し付ける馬鹿に対抗するためには、その好みを否定するのではなく、そいつ自身が後ろ盾として主張している大義名分との矛盾点を突くのが一番ではないか。そう思って、ひたすら論理的に話を進めてみた。
ダニエルよりメールが来て、スメルトのことを訊ねてきた。スメルトが始まるまでは、まだひと月はある。水面、浅場での荒食いが始まったらボートでも出そう。

10月10日

しばらく前からR.H Douglas and M.B.A. Djamgos の "The Visual System of Fish"を読んでいるけれど、なかなか進まない。難しすぎるんだよな、内容が。一般読者向けというより、研究者の卵向けに書かれた本みたい。
それでもとにかく、釣り、とくに鱒釣りに関係する部分だけ、書き出すことにした。読んだ時にふむふむと鉛筆で線を引いただけでは、結構すぐに忘れるものだ。

10月13日

フライフィッシャーの「釣り師の言い訳」、第18回目を二、三日前から書き始める。うーぬ、うむ。なかなか。どこでどう盛り上げるか、どの辺を山場と決めるか、まだ考えてない。プロットはあるんだけどさ、もちろん。やっぱり、魚がびちゃびちゃするところだろうか。
それはさておき、税理士から電話。日本で、原稿料が源泉徴収になっているので、ニュージーランドの税金は減るらしい。んでもって、3600ドルも返ってくるって。ラッキー!
つい、遊んじまおうかと思うけれど、ここはぐっと我慢して、明日も仕事をしよう。でもってこの週末は、テントでも持って、どこかに遠出をしよう。
釣りだ、釣りだ、嬉しいなっと。

10月16日

ちょっと予定が変わって、日帰りの釣りになった。レタルケ川。水温13度。去年佐藤君とここに来たのだけれど、大雨で川がまっ茶色で敗退。
道路から川を覗き込んだら、お、いるじゃん、いるじゃん。50センチ弱のブラウンとおぼしき魚がふらりふらり。早速下り口を探してうろうろするものの見つからず。仕方なく上流に走って橋から釣り下った。歩いていると、でっかい黄色のメイフライがぽつぽつと飛んでいる。 Ameletopsis perscitusなり。サイズは12番てとこか。他にもそれより一回り小さなメイフライがハッチしている。Coloburiscus humeralisだ。羽根の根元の黄色いパッチが目印。サイズは14番。うわははは。これは貰ったようなもんだ。人生、大当たりとはこのことなり。と釣り始めるが、魚がいない。ここにもいない。あそこにもいない。どこにもいない。すっかりすねて、淵の辺で蜉蝣を探していたら、突然深みから魚が盛り上がってライズした。慌ててフライを投げるもカス。
その後、河原に腰を下ろして、ブルーダックを双眼鏡で見ていたら、突然子供に声をかけられた。橋のところに魚がいると教えてくれる。前に一度釣ったことがあるんだ、あそこに落として、こう流してと細かく説明してくれる。でも、溜まりの流れの殆どないところにいるので、すごく釣りづらいじゃん、これ。予想通り、見事、脅かして終わり。
一度家に帰って、夕食後にトンガリロ川で夕マズメ。12番のウルフパターンで、35センチクラスを何尾か釣った。
明日はどこに行こうかな。

追記。 掲示板の議論にからんで誹謗中傷をするなというメールを貰う。誰も誹謗中傷なんかしとらんよ。あれくらいのことでオタオタして、ひょっとして議論ということをしたことがないんだろうか。そういうお子様は、みんなでニコニコ、北朝鮮ごっこでもしてればいいと思う。

10月17日

うーん今日もいい天気だ、お日さまが高いぜ。って、何これ、起きたらもう昼じゃん。というわけで、遠出はやめ。家の掃除して犬洗ったら、すでに三時半。近場のトンガリロで釣りをすることに。水温は13度とお手ごろ。ハッチなけれど、ライズあり。尺上をドライで釣って遊ぶ。その後、水棲昆虫をデジカメで撮って遊んだ。
昨日と同じ場所で、夕マズメを迎える。七時半頃から14番メイフライ(多分Deleatidium)のハッチが始まる。が、ライズが殆どない。なぜだぁと怒りつつ帰宅。
一緒に連れていった駄犬が、わしが釣りをしている間、どこで見つけたのか腐った魚の死体を貪り食ったらしく、おかげで車、家ともすっげぇ臭くなる。てめぇ、今日洗ったばっかりだろう!

追記。 掲示板のハヤシ君、がむおちゃんといいコンビだと思う。で、あのままどっかに消えてくれるかと思ったら、またわざわざ呼び出してる奴がいる。呼び出した以上、ちゃんと責任をもって対処してくれよな。わしゃ知らんよ。

10月20日

フウ、やっと「釣り師の言い訳第十八回」を書き終わる。夕べ遅くまでやったから、何だか寝不足で、身体がふわふわする。これって結構気持ちいいかも。今ソファに横になったら、ぐっすりだ。保証する。賭けてもいい。ワン、ツウ、スリーで、グガァグガァだ。でもわざとしない。眠っても構わないのに、このフワフワをもう少し楽しみたくて起きてる。これって、薬やってる人の心境ですかね。誰でもできる合法トリップ。

10月21日

佐藤君とまた釣りに行く。マンガフェロ川。水温13度。牧場の中を流れる小川だけれど、ここは瀬あり淵ありの渓相の上に、殆どがブラウン。が、佐藤君が起きだした9時半頃から天気が怪しくなり、釣り場に着いた昼過ぎにはひどい天気。雨が降りしきる。風が吹きすさぶ。川には、細かい木の葉が大量に流れ込んでいる。おお、すっげぇじゃん、こんな中で釣りやってる俺達って、根性入ってるみたいで格好いい。と思ってみたけれど、ちっとも釣れず、だからちっとも格好よくない。
あれだけ沢山のごみが流れていると、魚としても、一々餌かどうか見極めるのが大変なんだと思う。かったりいじゃん、そんなの、と不貞腐れて寝てるんだと思う。俺なら、間違いなくそうする。
で、三時ちょっと前に、二人とも雨と風とぼうずに負けて燃え尽きる。

某掲示板が、フルーガーのメダリストの話題で盛り上がっている。ちょっと前に、エーベルのリールで盛り上がった時は、結構荒れてしまった。この違いは何かと言えば、一重に、メダリストとエーベルの値段の差でしかない。エーベルのリールのお値段が高いもんだから、それを拗ねて嫉んだ奴が荒れた。
そこで、話題に乗せるリールを徐々に値段の高いものに換えていって、一体どの辺から嫉みが出るものなのか、みるというのはどうだろう。これで、日本のフライフィッシャーマンが考える、「必要リール」と「贅沢リール」の線引きができるはずだ。

10月27日

昨晩佐藤君から電話があって釣りに誘われるが、天気が悪いし、仕事もあるので、後ずさりしつつ引きこもる。
日本では、夜間の内水面の釣りは禁止されているらしい。で、先日送った「釣り師の言い訳第17回」の原稿で、「すっかり暗くなってからもまだ釣り続けた」という個所が問題になる。仕方なく「薄暗くなって水面が見づらくなっても釣り続けた」と書き換える。夕マズメの釣りって、やっちゃいけないって事か、これ。
その後、来週取材に行くパイロット学校の資料漁りと資料読み。
昼過ぎに郵便局に行きついでにトンガリロ川を覗いてみる。釣り人は誰もいなかった。何羽かのリュウキュウアマツバメとファンテイルが水面ぎりぎりを飛んでいたので、何かハッチがあるはずなのだが、確認できなかった。
パソコンに向かって仕事の振りをしながら、水棲昆虫の写真に簡単な説明を加える。
でも、一体、誰に気兼ねをしているのだ、俺は。