トラウトバム日本語版        

DIARY

10月11日

うふふ。フィジーに行ってきました。やたら、警戒厳重な搭乗手続きにもめげず、行ってきましたですよ。金もない。仕事もない。未来も分からないながら、行ってきて本当に良かったと思います。カヤックも良かった。シュノーケリングも楽しかった。魚も沢山釣れた。あとは、写真がちゃんと撮れていて、そんでもって雑誌社が記事を買ってくれることを祈るのみ。

離島に行く飛行機に乗るとき、手荷物をすべてチェックされた。一緒に乗ったカヤックのガイドはこんなことは初めてだと言う。それほどハイジャックを警戒しているということなのだけれど、小さな小さなプロペラ飛行機(10人乗れるのかなぁ)をハイジャックするやつがいるのだろうか。

帰国寸前にアメリカの爆撃が始まり、フィジーの新聞にもそのことが載っていた。帰ってきてから、仕事の整理をしつつ、ネットを回る。インターネットの素晴らしいことは、これまでのように片方の言い分だけでなく、両方の事情が分かるような情報が手に入ることだろう。
パキスタンで旅行社を営む日本人の緊急レポートを読む。非常に興味深い。特に娘さん(日本在住)のように現地語が分かる人の話は、いかにニュースを鵜呑みすることが危険であるか、それを突きつけてくる。

爆撃は、ある特定のテロリストを殺しはするだろうが、テロリストを生む土壌を拡大し、肥料を与え、新たな種を蒔くだけなのではないだろうか。

10月15日

タリバンは、ハイジャックをもっとやると言っている。
空港での搭乗の際のチェックをいくら厳重にしたところで、ハイジャックを防ぐことはできまい。機内食についてくるフォークがあればいい。あるいはボールペンでも良い。そこらにいるなるべく弱そうなやつ(女でも、子供でも)を捕まえて、その眼にフォーク、ボールペンを突き立てると脅かせばよいのだ。あるいは赤ん坊なら、凶器すらいらない。必要なのは、やるという強い意志だけだ。搭乗乗客の一人一人をうそ発見器にかけるのでもなければ(それですら、嘘をついているといえるかどうか、確定できはしない)、誰がハイジャックの意志を懐に隠して乗り込んでくるのか、それは知りえないし、止める手だてもない。
しかし、もう旅客機がビルに突っ込むこともないだろう。乗客室で何が起ころうとも、コクピットへのドアは堅く閉ざされたままだろうから。

タリバンが悪で、アメリカが正義でも、あるいはその逆だとも思わない。そんな簡単な勧善懲悪では収まらない複雑な関係が両者の間にある。ソビエトのアフガン侵略に対抗し、CIAが秘かにアフガニスタン(ムジャヒディン)を助けたこと。そしてイスラエルとパレスチナとアメリカの関係。
しかし事態が複雑であればあるほど、感情が理性を飛び越えて、一息に決着をつけようとしたのでは、問題が余計こじれるだけなのではないか。それがテロにしろ、爆撃にしろ。

アフガニスタンの在パキスタン大使の話を読んで、どこか、ほっとした。もし、彼が自分の車もなく、あってもボロボロのスターレットかなんかだったら、がちがちの原理主義に凝り固まっていて、とりつくしまもない気がする。しかし、公用車はカローラで、自家用車はベンツというあたりに、まだまだ交渉の余地はあると思ったのだ。彼も物欲世界、つまり僕たちと同じ世界に住んでいるということだから。

仕事が忙しくて、しばらく釣りにもカヤックにも行けない。まぁ、3週間きっちりフィジーで遊んだから、その分ちゃんと働かないとな。でも、その「しばらく」というのが、10日間くらいのことだったりするので、やっぱり、あんまり仕事をしてないな。我ながら感心するけれど。

10月15日ver2

仕事で日本に送らなければならないものがある。今週の金曜日19日に宛先に着いていなければならない。それで宅急便で送ることにし、先週の金曜日12日の午後2時35分にDHLに電話をかけ、ピックアップを頼んだ。5時までには必ずと言うので、信じて待っていたら来ない。それで5時半頃に電話をしたら、「7時までには行くと思う。最悪の場合でも月曜の朝には必ず」との返事。
「おいおい、俺は急いでいるんだぜ。今日来いよ」と言ったのだが、確約はできないとのこと。まぁ、仕方ないかと待つことしばしで、月曜のもう昼だ。
「おい、何時に来るんだよ」「あ、もう連絡を済ませましたので、2時までには」
来ない。
「こら、今何時だと思ってる」「あ、4時までには絶対」
来ない。
「てめぇ、取りに来るつもりがあるんか?」「5時までにきっと」
来ない。
「どうなってんだよ?」「申し訳ありません。今日は取りに行けません」
馬鹿野郎!!ふざけんじゃねぇよ、DHL!

というわけで、私は、今、非常に困っている。
DHLは二度と使わないのは当然だが、それよりも目の前にある小包みをどうやって金曜日までに日本に届けるかだ。困った。弱った。

10月24日

急に入ったテレビ撮影のお手伝いの仕事が昨日終わった。「未来者」というテレ朝の深夜番組で、海外で自分の夢を追いかけて頑張っている人に焦点を当てた30分もの。今回の取材は、オークランドで焼鳥屋をやっている宮本健市さんとネルソンでシーカヤックガイドをやっているタカハシリュウさんの生活ぶりを、わずか一週間で撮ってしまおうという、ぎりぎりスケジュールというか、無理ですよそんなもんスケジュールだった。まぁ、しかし、なんとか撮り終えて、ほっと一息ついてます。
取材先が夜の都会と国立公園なので、言わば両極端。場所だけでなく、周りを取り巻く人達まですっかり違って、その対象がとても面白かった。

締め切りの迫った原稿があるので、慌ただしい。11月半ばくらいまでこの調子で忙しそうだ。その後の予定は何もないので、思いっきり遊べるぞという期待と、仕事がまったくない不安感が入り混ざって微妙に揺れる42歳の男心。

10月24日Ver1.1

先週、よくテレビ関係の仕事を貰っているところから連絡が入り、10月31日から6日まで、別の撮影手伝いの仕事を受けた。原稿の締め切りなどもからんでいたので、なんとかうまくこなせるように、前倒しで原稿を書いたりしていた。それが、上記の慌ただしくも忙しい理由だ。で、今日、そこからの電話で、今回は予算が非常にきついので僕の料金も普段の3割カットでしか出せないと言われる。いくら不景気だとはいえ、賃金3割カットは、やっぱショックだ。
「え?そ、そうなんすか?うーん、そこをなんとかなりませかねぇ」と少しごねてみる。
しばらくして、再び電話があり、別の人間を見つけたから、いらないと言われてしまった。
がーん!
仕事はあれば嬉しいので、安くともやるつもりであったのだが、、、。ちょっと、ごねてみただけでこうまであっさりと切られるとは。自分の立場がどれだけ弱っちいものなのか、思い知らせてしまった。

10月25日

ツランギでの買い物の帰りに、駄犬の散歩がてら、久し振りにトンガリロ川に行ってみた。石には茶色いどろどろの苔が生え、随分と長い間、大雨が降っていないことが一目瞭然で分かる。苔はひどいところでは、数センチほど延びている。これじゃ、水棲昆虫も堪らないだろう、と石をひっくり返し見たら、苔のない僅かな隙間に大きく育ったコロビュリスカスやカディスがいくつもひしめき合っていた。コロビュリスカスのハッチもそう遠くないのかもしれない。

フライフィッシャーから連絡があり、フィジーの記事を買っていただけることになった。あな、うれしや。今回のフィジーは、前回のトンガと違って、ソルトのフライフィッシングを堪能できたし、それが伝わるような写真も何枚か撮れたので、いい誌面になる自信がある。自分でも、フィジーにはまた行きたいと思うものな。と言うわけで、乞うご期待。

ワインに関する記事を書くことになり、その写真撮影用に、日本にワインを送らなければならない。郵便局系の宅急便は液体物は送れないから、仕方なくダメダメDHLをまたしても使う羽目になった。日本まで送りたいものがあるから取りに来て欲しいというと、僕の住んでいる地域だと書類を作ったりあれこれあるから、取りに来るのに2,3日かかると言われた。ほほう。前回は、2時間で来ると嘘デタラメを言っていたのが、少しは現実に近いことを言うようになったじゃないか。
「2,3日ってことは、金曜か土曜日ですか」と、土曜日は回収に来ないことを知っていてわざと聞いてみる。「あ、その場合は、月曜日になります」「月曜日?」「あ、いえ、その、今から月曜日の間のいつかです」
あははは。木曜日の午後に電話をしてんのに、荷物を取りに来るのが翌月曜日までのいつかなんていけしゃしゃというとは、さすがはうすのろDHLだ。佐川急便が進出したら、あっという間に潰れるだろうな。

10月26日

一日家に篭って、お仕事。

昼前に郵便ポストを見たら、おまぬけDHLの送り状と封筒が入っていた。
なんだぁ?
さっそく電話をしてみると、それに差出人やら送り先やらを書き込んで待っていれば、荷物を取りに来ると言われた。
うううむ、訳の分からんことをするやつらだ。送り状と封筒を家の住所までわざわざ来てポストに入れることができたのなら、どうして、そこから20メートルほど歩いて家のドアをノックして、荷物をピックアップしないのだ。そうすればお互いに一度で済んでよいではないか。夕方四時になっても来ないのでまた電話してみたら、月曜日には取りにうかがうでしょうとのこと。あはは。
封筒には「Every Second Couns(一秒一秒が大切です)」とか「Worlwide Express(世界中への特急便)」なんて書いてあるのだけれど、どこがだぁ、と思わず大声で笑いたくなる。荷物をピックアップするだけで五日もかかる(それも月曜日にちゃんと来たとしてだけれど)宅配便が、よくまぁ、そんなことを言えるわなぁ。
今回は液体ものだったから仕方なくのろまのDHLを使ったけれど、それ以外のものだったら、郵便局に行って航空便で送った方がよっぽど早いことがわかった。鈍重DHLが荷物を取りに来るころにはとっくに日本の宛先への配達が終わっているもんな。
前回と違って、送り先には11月15日までに着けばよいので、時間はたっぷりあるから焦ってはいない。というより、なめくじDHLがどこまでやってくれるものなのか、面白半分見ていたりする。

10月30日

裏切られても、裏切られても、他に乗り換えたりせず、いつかはきっと私のことを思いだしてくれるはず、私のもとに来てくれるはずとひたすら信じ続ける。これを愛と呼ばずして、なんと呼ぼう。愛以外の何ものでもないではないか。
というわけで、いとしのDHLさんは、まだ私の荷物を取りに来てくれません。もう、火曜日が終わろうとしています。DHLさんに電話をして、取りに来てくださいねとお願いしたのは、随分と遠い昔、先週の木曜日のことです。それから毎日かかさず電話をしては取りに来てねとすがっているのに、DHLったら、そのたびに「明日はきっと」、「今日の午後には必ず」って言うばかり。来ないくせに。ああ、もうなんだか、信じることに疲れてしまったわ、あたし。

久し振りに良い雨が降ったので、川も少しは水が増えているかと見に行ったら、増水も濁りもしていない。全部地面に染み込んでしまったようだ。よっぽど乾ききっていたのだろう。今週前半のまだ仕事が暇なうちに釣りにでも行こうかと思っていたのに、愛するDHLのおかげで、家を離れることができない。

どうでもいいから、はよ、取りにこんかい!