トラウトバム日本語版        

DIARY

5月1日

せっかく買った車の調子が悪い。長距離を走っていると、突然、警告灯が付いて、パワーがガクリと落ちる。どうもプラグのうち1本が発火しなくなるようだ。けれど不思議なことに、エンジンを一端切ってまた始動するだけで、あたかも何もなかったかのように治るので、問題はプラグではなく、電気の分配を行っているEFIのコンピュータチップか、電圧を上げるアンプ系にあるらしい。車を見てくれた修理工場で、コンピュータボードを取り換えたらどのくらいかかるの、とそれとなく聞いてみたところ、ものによって違うが600〜700ドル、最高は3000ドル位と言われて、びっくり。とてもじゃないが、「とりあえず取り換えておいてよ」と気軽に言える額ではない。それでしばらくは、だましだまし乗り回すことにした。
まぁ、コンピュータにフリーズは付き物。たかがちょっと固まったぐらいで、いちいちコンピュータを買い替える馬鹿もいないわけで、強制終了して再起動して問題なく使えるなら、それでオッケーじゃん。と強制的に自分を納得させる。

先週、湖にカヤックを漕ぎに行き、勢いをつけてカヤックの先端を沈めてみたら、なんと、きれいにズッポリと突き刺さった。これまで何度やっても駄目だったのがようやくできるようなり、それが嬉しくて嬉しくて、キャァキャァ言いながら、調子に乗って何回も突き刺す。あとは、これをカヤックの後ろ側での回転にも繋げられれば、静水でぐるぐると水車の様にカートホイールができる訳だ。
と、喜んでいたら、翌日から腰が痛くなり、数日間は歩くのも難儀に。ううむ、人間水車への道は遠いのぉ。

5月4日

先週、友達のポールとワインを飲んでいて、栗拾いの話になった。ポールはツランギにもう30年近く住んでいるので、いろいろと詳しく、「それなら、どこそこの公園にあるはず」と新しい場所を教えてくれた。数日後、早速出かけてみたら、ちょっとした広場の端に栗の木が2本あった。探すまでもなく、あたりにはいくつもイガが落ちていて、それを靴でムリムリと割ってみたら、なんと、今までに見たことないほど大きな栗の実が出てきた。大粒だったのはその一つだけでなく、その木になっている栗は、どれも立派。女房と二人で、うわぁと喜びの声を上げながら、拾いまくる。それからまた数日後、午後から風が強く吹き始めたので、これはきっと栗もたくさん落ちているに違いないと踏んで出かけた。道すがら、ツランギの街を、他にも栗の木はないものかと鵜の目鷹の目でドライブしたら、もう一本見つけてしまった。こちらはちょっと小粒だが、実が丸く、甘そうな感じ。これでツランギの街には、10本以上の栗の木があることが分かった。
この街は、もともとは30年ほど前の発電関係の工事で出来たもので、その工事を請け負ったのがイタリアの会社だった関係から、随分とたくさんのイタリア人が住んでいたらしい。多分その人たちが植えたのではあるまいか。しかし、ニュージーランド人には栗を食べる習慣がないので、せっかく大きく育ったのに、わさわさとなった栗の実は誰にも拾われることなく、落ち葉に埋もれるままに朽ち果てているようだ。もったいないったら、ありゃしない。
実のつき方から見て、あと1ー2週間は栗拾いを楽しめそうだ。栗ご飯やら何やら、旬の味をじっくり噛みしめるとしよう。

5月13日

健康保険会社が、 「お得意さんでありがとう」ということで、100ドルまでならただで健康診断ができるというバウチャーを送ってきた。早速、医者に行って、いろいろと診てもらう。血液検査は去年やったけれど、肺機能、心電図などこれまで受けたことのないものも、どうせただだからとあれこれ追加してもらう。血液検査の結果は、まだしばらく時間がかかるらしいが、それ以外は全てその場で診てくれ、どれも100%健康だとのこと。特に悪いところがあったわけではないが、まぁ、これで一安心。

タウポに行ったついでに電気工事関係の部品屋に寄って、サーモスタットを見てきた。「納豆制作箱」の温度管理用のサーモスタットを探しているのだ。店にあったのは、部屋の温度調節用で、どれも5度から30度まで。欲しい40度をカバーしているものがない。製造会社にわざわざ問い合わせてもらったら、20度から60度まで調節できるものがあるという。ばっちりじゃん。よし、それくれ。で、いくら?え?は?200ドル?
ごめん、ごめん。あはは。そんなにするとは思わなかったじゃん。いやはや、しどろもどろ、、、。
いくらなんでも、200ドルはちょっと出せない。というわけで、しばらくは湯たんぽ方式で行くしかないようだ。

湖にカヤックをしに行く。バウは6割くらいの確率で沈むようになった。あとは、これをスターンに繋げられればよいのだが、どうしても、スターンが入った段階で、後ろ向きに倒れてしまう。バランスのとり具合がまだなっていないのだな。練習あるのみ。

雨がほとんど降らない。川は低いまま、湖も低いまま。だから、鱒も上ってこない。ここらで、どっと降って欲しいのだが。

5月22日

雨だ、雨だ、雨だ!随分と久しぶりの雨が降っている。それもかなりの量。昨日の午後、ツランギまで用事で出かけたら、ワイマリノ、ワイオタカは水量アップの茶濁り、トンガリロは水量やや増しの緑濁り入りだった。が、今これを書いている段階では、結構強い雨足で、しかも長く降り続いているから、トンガリロもどっと水位を増すに違いない。うふふふっふ。いいぞぉ、いいぞぉ。今日、明日は仕事で身動きが取れないが、金曜日は暇になるはずだから、さっそく釣りに出かけるとしよう。その頃には川の水も引いているんじゃないだろうか、と希望的観測。

と、浮かれていたのは、昨日の話。今日の夕方、ツランギまで様子見がてら出かけてみたら、街までのわずか7キロほどの距離で、国道が7箇所で水没、滔々と川となって流れていた。当然のことながらトンガリロ川は川幅一杯に広がる怒濤逆巻く濁流と化していて、しばらく見ているうちに、根っこが付いたままの20メートルあまりの大木が、ゴワン、ゴツン、と腹に響く音を立てながら下っていった。これは、とてもじゃないが、明日釣りがどうしたというレベルではないな。

どうでもいいが、坂道で、120キロで追い越しをかけている最中に、いきなり警告灯を付けパワーを落とすのは辞めて欲しい。エンジンを切って、かけ直さなければならない身にもなってみろ。
と、ぶうたれている暇があったら、さっさと直せってか。

5月26日

車のコンピュータ(ECU)を探しだすべく、助手席の足下をあれこれ外してみたのだが、コネクタ、ソケットの類いはみつかったものの、肝心のお弁当箱はどこにも見当たらない。ふむ。これは
1. 私の車は、ECUがない車種である
2. ECUはあったが、前の持ち主が外して猫ばばした
3. ECUは、イメージファイルとして亡霊のごとく存在する
のいずれかだろうということで、あっさり諦めた。とりあえず、リセットだけはしておこうと、バッテリのマイナス端子を外し、しばらくしてから取り付けてみたら、キーキーと変な音が鳴り、ハザードが点滅するではないか。なんだ、こりゃ、と思いつつ、試しにキーを回してみると、エンジンはピクリともしない。まったくセルすら回らない。げげげげ。やらんでも良いことをやってしまった!電気系をどこか吹っ飛ばしたか?しばらく真っ青になってパニクりながら、あちこち押したり引いたりするけれど、一向に状況が好転する様子はない。ふと、天啓のように思いついたのが、ひょっとして、これって、アラーム?今まで、てっきり前の持ち主が外したとばっかり思い込んで、ろくに読みもしなかったマニュアルを慌てて引っ張り出し、アラーム解除の項目を探しだす。その手順にしたがってスイッチを押したら、あら、不思議。ハザードは消えてなくなり、おまけにエンジンまでかかるじゃありませんか。良かった、良かった。あとは、これで車のエンジンの不調が改善されれば、万万歳だ。

今が旬の、ブラフオイスターをいただく。美味。人生、美味しいものを食べてなんぼですな、やっぱり。