トラウトバム日本語版        

DIARY

6月15日

2週間の日本帰国を無事終え、昨日帰宅。帰りの飛行機は、半分ほどの乗客数とチェックイン時に聞きだしておいたので、全員の乗り込みが終った頃合いを見計らって素早く行動を開始し、誰も座っていなかった中央の4席に場所移動。おかげで、ごろりと横になって夜を過ごせた。
が、それでもやはり疲れは溜まっていたのか、あるいは500キロドライブ(空港→ファンガパロアの友人宅で犬ピックアップ→ツランギ)のせいか、今朝目が覚めたのは、11時間も眠った後であった。

ラーメンに関しては、2週間の滞在で12杯楽しめたので、まぁまぁというところか。少しづつだけれど自分の好みの味が解ってきたのと同時に、やっぱりそこらにあるラーメン屋に飛び込みで入ったのでは、外れが多いということを痛感。

京都では、貴船という場所に行き、川床料理を楽しんだ。これは川幅3メートルくらいの小河川の上に板を渡し、そこで食事を楽しむという趣向。だから床下40センチには川が流れている。よく目を凝らしてみると、溜まり溜まりに魚が泳いでいた。コイ、ウグイに混ざって、ヤマメが一尾いるのをみつけ、おや、と思っている目の前でぴちゃりとライズ。釣れなくとも、こんな姿を目にするだけで、なんだか嬉しくなる。

NZに帰ってきてまず感じたのは、「やっぱり、日本はぴかぴかの車が多い」ということ。磨き上げる持ち主の努力はもちろんのこと、とにかく新車が多い。

美味しいものもしっかり食ったし、旨い酒もたらふく飲んだから、しばらくは真面目に仕事をするとしよう。

6月20日

いまだに時差が抜けない。夜中の2時頃にベッドに入るのだが1時間あまりは悶々と眠れず、目が覚めると、もう正午近い。目覚ましをかけても、止めてまた寝てしまうだけので、それならとばかりに目覚ましを3つに増やし、しかもどれもベッドから離れたところに置いたら、ふらふらとベッドから3回起き上がって、止めて寝るだけだった。あ、止めてから、またベッドに入るからいけないのか。しかし、二度寝は気持ちがいいからなぁ。やめられないんだよな。

日本から帰ってきてから、ずっと腹具合が悪かった。普段食べ慣れない美味いものばかり食ったせいかもしれない。どうせ祟られる、天罰が下るなら、もっともっともっとたくさん食べてくればよかったと反省。たしか開高健の「新しき天体」という小説は、美食飽食の限りを尽くし、その結末は、すべて流れてしまうんじゃなかったっけか。それに比べたら、僕の食べたものなど、爪の先、つまようじの先のようなものだというのに。

日本での2週間は、仕事をしていなかった、パソコンがないのでインターネットで遊べなかった、電車での移動時間が多かったなどの理由で、思いのほか本を読むことができた。
Sue McCauley 「Life on Earth」 NZの女性作家の短編集。良くも悪くもなし。
柳瀬尚紀 「翻訳はいかにすべきか」 耳が痛い。しかし、そこまでやりますか。そうですか。
内田百間 「大貧帳」 借金したって、面白い事もないのである。と飄々と書きながら、水道を止められたり、電気を止められたり。いやはや、なんとも。
岩井 保 「旬の魚はなぜうまい」 アンキモの記述を読んでいて、ふと、鱒の肝は食べられるのだろうかと思った。今度、試してみよう。

来週は、一回くらい、釣りに行きたいもんだ。そのためには、もっと本腰を入れて原稿を進めないと。とにかく、死体に鞭打つ、じゃなかった、自分を叱咤激励。

6月22日

仕事の合間に、ふと、居間に行くと、取り込んだばかりでまだ畳んでいない洗濯物の山の上に、猫が座っている。ふむ。
ん?あっ!その座り方はぁ!
大声をあげながら、ダダダと駆け寄ってみれば、、、
あ”ー、て、てめぇ!なんちゅうことをしやがるんだ、馬鹿やろ。久々の晴れ間にやっと洗った洗濯物に小便しやがった。とっつかまえて、「馬鹿やろぉ。このやろ、てめぇが何やってんのかわかっとんのか」と、がなり立ててはみたものの、わかってねぇんだろな、こいつ。
がっくりしながら、今乾いたばかりの洗濯物を、また洗濯機に放り込んだ。

日本の友達が僕のところにメールを送ろうとするのだが、いくらやっても送れない。メアドを間違えるも何も、僕から来たメールへの返信すらできないというのだ。散々あれこれやってみた揚げ句、どうしても駄目なので、サーバー(yahoo.co.jpのADSL)に文句を言ったら、「ひょっとして、送り先のサーバーが着信拒否してんじゃないですか」と言われたそうだ。まぁヤフーときたら言うに事欠いてとは思いつつ、僕が使っているサーバーの管理者に、こんなふざけたこと言ってますよ、とメールを出してみたら、「うん、yahoo.co.jpのドメインネームでたくさんのジャンクメールが来るので、全部ブロックしてます」
お、お、お!あんだって?お、おめぇ、そんなことしていいのか!いくら、たくさんのジャンクメールが来るからって、xtra.co.nzのドメインから来るメールをブロックしたりせんだろうが。この、くそたわけもんがぁ。大体、使用者に断りもなしに、メールをブロックしていいのかよぉ?
道理でこのところ、「1行100万円でコピーを書いていただきたいのので、よろしくお願いいたします」というおいしい仕事のメールや、「私、22歳の女子大生です。斉藤さんのことがとっても好きなんです。今度お泊まりに行っていいですか。はぁと」なんて嬉しいメールが来なくなっていたわけだ。ったく、もう。しっかりしてくれよぉ。
そんなわけですので、今からでも間に合いますので、メールが返ってきてしまった皆さん、よろしく再送のほど、お願いいたしますです。

なんだか、怒ることの多い一日であった。

6月28日

この2週間ほど、ある実験をしている。詳細はこうだ。
先々月、暖炉のある居間の天井付近から、暖かい空気を抜き取って、僕の仕事部屋に送風するダクトを取り付けた。居間にある暖炉で、僕の仕事部屋の暖房も同時にやっつけてしまおうという企みだ。夕方暖炉に火を入れると、僕の仕事部屋も、ゆっくり温度が上がり始め、ヒーターを使わずに済んでいる。ある昼過ぎ、仕事をしていてあまりにも寒いので、いつもなら夕方になってからつける暖炉をそれまで待たずに火を入れた。
赤々と燃える炎を見ながら、ふと、閃いた。
家のお湯は、すべてホットウォーターシリンダーという電気式の温水タンクでまかなっているのだけれど、うちの場合、これにウェットバックというのがついている。要は、温水器からパイプを引き、それが暖炉の中を通っていて、暖炉に火が入っている間は、これで水が温められ、電気代を節約できるという仕組みだ。
一番お湯を使うシャワーは、僕は普通夜寝る前に浴びる。ということは、こうして明るいうちから火が入っているなら、暖炉で作るお湯だけでも充分なんじゃないだろうか。朝、昼の洗い物など大した量ではないから、夜にまとめてやるようにすればいい。うん、できるかも知れない。それで、ホットウォーターシリンダーの電源を落としてみることにしたのだ。これが実験である。
結果から言うと、シャワーで使うお湯の量は微々たるもので、おまけにホットウォーターシリンダーの保温性は意外と高いものらしく、翌日の昼過ぎになっても、つまり暖炉の火が入る前でも、普段と変わりなく蛇口をひねればお湯が出る。だから洗い物をまとめてする必要もない。ただし、湯船に一杯お湯をはってお風呂に入り、出がけにシャワーを浴びた翌日は、さすがにお湯は出なかった。ある程度お湯がシリンダーに残っていても、量が少ないと、新しく注入された水に負けて、すべて水になるのだろう。しかし、シリンダー内全てが水になった場合でも、4時頃から火を入れれば、夜には普通にお湯が使えるようになったので、生活には困らない。

これで、何かの理由で電気を止められても、お湯には不自由しないということが分かった。心強いぜ。