トラウトバム日本語版        

DIARY

2月2日

一昨日オークランドまで行き、腰治療のため東方治療院なるところの門をくぐった。日本語をしゃべれる中国人がやっている、鍼、灸、整体の病院なり。鍼も整体も生まれて初めての経験で興味津々。鍼が刺さっているのは背中だから見えなかったけれど、どうやら電気を流している様子。筋肉がビク、ビクと定期的に動く。その後、背中と腰をバキバキいわせられた。これで、腰痛が消えたかといえば、残念ながらさにあらず。もともとこの3,4日は調子よく、普通に歩いたり釣りに行くには不自由がなくなっていたが、カヤックをできるほどではない。それをどうにか一息で治して欲しかったのに、未だに不快感が腰の左側に残っていて、これは治療する前と全く変わらず。それどころか、今までなんともなかった首がちょっと痛くなってしまった。これじゃプラスじゃなくて、マイナスじゃないか。40ドルも取られて損したと思うが、未知の体験ができたから、まぁ、いいか。

注文しておいた「Guide to the Aquatic Insects of New Zealand」が届く。ぱらぱらめくりながら、いやはや、それにしてもなんともたくさんの種類の水棲昆虫がいるものだと感心する。Insectsのページに早速いくつか間違いを発見し訂正。

 

2月6日

ある夜、パソコンに向かいながらもどうしても仕事ができず、それでちょっとした悪戯気分で、高校時代の友人の名前をネットで検索してみた。と、なんと、ホームページが出てきたじゃないか。早速彼の掲示板に書き込んだわけだけれど、実に二十三年ぶりの音信であった。授業中に、下らない文章を二人で回し書きして、「現代国語」ならぬ「変態国語」と銘打っていた。っつうことはなんですか。俺って、その頃から全く進歩も変化もしてないってことか。

腰はほぼよくなったので、リハビリに湖に漕ぎに行った。いやぁ、カヤックってやっぱり面白いよな。そう、思った。With Natureの人がこのあいだ拙宅に遊びに来てくれ、腰を鍛える運動を教えてもらう。去年は肩、今年は腰と、故障続きで遊べなかったが、来年こそ一緒に遊びたいなり。

カヤックのロデオ大会で、輸入代理店を通した物ならフリーパスだけれど、並行輸入したカヤックは参加登録のために二万円だか、三万円だか支払わなければならないという話。これって、法律的に問題ないんでしょうか。もし、問題ないとしても、まぁ、なんてセコイ話。

けつの穴が小さい

なんて、言葉を思い浮かべてしまいますわ、あたし。
 

2月8日

すっげぇ、寒い。いや、俺の財布の話でも、「言い訳」のことでもない。昨日の夜から急に冷え込んで、真夏の一番暑くていい時だというのに、Tシャツの上にトレーナーを着て、そのうえに厚手のフリースを着込んでいる。もちろん、下半身はひざ掛けでぐるぐる巻きだ。これって、真冬の装備じゃん。なんで、こんなに寒いんだ。

「Guide to the Aquatic Insects of New Zealand」をぱらぱらとめくっていたら、ニュージーランドのカゲロウは今のところ、8科まで識別されているのだそうな。で、そのうち一番の大家族のLeptophelebiidaeには12属30種が含まれているらしい。このLeptophelebiidaeだけの本が出ているので、それを注文してみた。「Fauna of New Zealand(ニュージーランドの動物群)」シリーズの36巻目で、このシリーズの目録を見ていたらカワゲラのものが二つもあった(Plecoptera No.22とNo.27)。もし、今回注文したやつが面白かったら、そっちも買ってみようと思う。

ツランギの街に郵便を出しに行って、ついでに本屋を覗く。ニュージーランドの全淡水魚を網羅した「New Zealand Freshwater Fishes」があったので購入。その隣りにあった「Mushrooms and Other Fungi of New Zealand」も買ってしまった。これはニュージーランドのキノコの図鑑。去年、北海道に行った時にケショウヤナギに生えていたキノコを採り、それを美味しくいただいたのだけれど、一緒に行った人が、同じ柳はツランギにもあり、しかも同じキノコも見たというのだ。美味しいから、是非食べなさいと強く勧められ、その気になって「見分ける・採る・食べる きのこ ハンドブック」なるものも日本で買ってきた。これと、今回買った図鑑を合わせれば、間違うことはないだろうという目論見だ。で、その図鑑のはじめに、「野生のキノコは食べられますか」という項目がある。読んでみると「野生のキノコには食べられるものもありますが、毒のものも沢山あります。だからスーパーマーケットで買いましょうね」というようなことが書いてあった。ううむ、憶病者め。
ぱらぱらと見ていると「Magic Mushroom」なる種類が出ている。どうしてマジックと呼ばれるのか、そのキノコのどの辺がマジックで、食べるとどんなマジックが繰り広げられるのかなど、一番大切な情報が全く書かれていない。ええい、不親切な奴め。

 

2月9日

一昨日注文したばかりだというのに、もう「Fauna of New Zealand(ニュージーランドの動物群)No.36」が家の郵便ポストに入っていた。いや、インターネットとは改めて便利なものだなと感心。これじゃ、街の本屋さんは辛い勝負だ。で、早速開いてみると、、、。
す、すげえ。白黒だけれど、分類上に必要な図が沢山載っている。アダルトの足の爪先拡大図、アダルトの羽根の図、アダルトの胴体拡大図、アダルトの生殖器拡大図、胴体節門拡大図、ニンフ拡大図、口吻部拡大図、口吻部部分品拡大図、前脚模様拡大図、鰓拡大図、そして極め付け、卵の電子顕微鏡写真。これで、Leptophelebiidae科の分類はばっちりである。
が、しかし、いつごろハッチしてハッチの仕方はどうなのかという、釣り人として一番欲しい情報は全くない。とほほ。
 

2月10日

アウトドア3月号、本日発売!

いや、別に力んで書くほどのことでもないかもしれないけど、まあ、買ってくれたら嬉しいな、と。そう言うことです。

久し振りに、リンク先をチェックしたら、繋がらないものが多かった。新しいものに変更。

今週は、お金に直接は繋がらない仕事が多い。でも、今やっておかないと、後でひどい目に遭うのもわかっている。来週はヘリで山奥に入って釣りをするので、仕事は一週間お休み。だから、せめて今週くらいちょっとは頑張っておかないと。
あ、山に持っていくフライをまだ巻いていない。巻かねば。

 

2月11日

明日の午後には、友達が日本から着き、そして明後日にはヘリで山奥に入る予定になっているのに、今日は朝から雨が降って、しかも全く止む気配がない。これでは、川が増水して、また遭難騒ぎになりかねない。もっとも今回はヘリで飛んで入るわけだから、何かあっても、そのヘリが迎えに来るだけの話なんだけど。

家の近所には、
1.普通の車もしくは徒歩で入れる
2.4輪駆動車(RV系)、もしくは徒歩でないと入れない
3.4輪バギー(ファームバイク)、もしくは徒歩でないと入れない
4.ヘリ、もしくは徒歩でないと入れない
5.ヘリでないと入れない(徒歩不可)
6.特定のガイドと一緒でないと入れない
と各種いろいろなポイントが取り揃えてあるのだが、ヘリで釣り場に入ることを潔しとしない人は、2や3の川に関しては、どう思っているのだろう。4輪駆動車も4輪バイクも持っていない私は、そんな釣り場にはえっちらおっちら歩いていくわけだが、その横を4輪駆動車、4輪バイクで行く釣り人がいても、アンフェアだとか、忌み嫌うという気持ちはほとんどない。ただ、羨ましいなぁ、その空いてる席にちょっと乗せてくれません?あ、ボンネットの上でもいいですよ、と思うだけだ。これって、ただ単に私が卑屈で、プライドがないだけのこと?
ちなみに5の徒歩不可は物理的な問題ではなく、土地所有権が絡んでいて、これは6も同じ。川のほとり、10メートルほどなら誰にでも歩く権利があるという、クイーンズ・チェインは、実はすべての川に適用されているわけではない。よく行く牧場の川など、橋から上にはクイーンズ・チェインが適用されているけれど、その下にはない。つまり、牧場主が嫌だといえば、誰も入れない(事実、そう言って断られる)。

 

2月18日

いやぁ、ほんとに楽しい5日間でした。この間に、ンガルロロ川に日帰りと一泊で、そしてフィリナキ山地のワイアウ川にやはり一泊で行ってきたのだけれど、釣りは面白い。うん。特にワイアウ川が良かった。いろいろな意味で、、、。
行く前から天候が怪しくて、ヘリのパイロットに、もしやばそうだったらいつでもいいから迎えに来てねと言い残して、山中にテント泊。釣りを始め、しばらくしたら雨が降り出してきたので、早めにキャンプ地に帰る。翌朝目を覚ますと、川にはまっ茶色の水がとうとうと流れている。げげ、ヤバイかも。とにかく釣りはできないので、テントの中でヘリが迎えに来るのをひたすら待ち続ける。午後2時に爆音も賑やかに来たヘリに、慌てて荷物を片づけて乗り込んだ。しかし離陸してタウポ方向に向かうのだが、雲が低すぎて山並みを越えられない。どうにか見える鞍部を一つ飛び越えたところで、その先にどうしても進めなくなった。どちらを見回してもガスがかかって、逃げられないのだ。行き先を探して、山の中を迷走飛行することしばし。やっと川から出られたという安堵が、これはひょっとしてやばいかもの危機感に変わっていく。何とか谷を下っていくと、森が終わり、牧場になった。その牧場の家の裏に緊急着陸をして、パイロットが「ここはどこ?」と聞いてくる。その後は、川に沿ってどんどん下流部に向かって飛んでいき、しばらく行ったところでようやく国道に出た。が、残念ながら、ここでガス欠(!)となり、小学校の裏にまたもや緊急着陸。場所は、東海岸はワイラウの南15分ほどの場所で、ワイフアという本当に小さな集落だった。近くの家に電話を借りに行くが、無いと言われる。うう、すげぇ。燃料を手に入れても、今日は雲が低すぎてもう飛べないというので、パイロットをそこに残したまま、集落のマオリのお兄ちゃんの車に乗せてもらって、ネイピアまで出た。そしてガソリンスタンドで降ろしてもらい、タクシーに電話をして、ようやくタウポまで帰ってきたのであった。ヘリで普通に飛べば30分あまりの所なのに、おかげで6時間近くもかかってしまった。

ちなみに今回使ったテント、最後に使ったのは、ンガルロロ川で遭難騒ぎをして食い物もなく3日ほど停滞したときなんだけど、やはり呪われたテントなんでしょか。

 

2月19日

一週間遊んでいた間に溜まりに溜まった洗濯物を片端から洗い、伸びに伸びた庭の芝を芝刈り機でバリバリやって、ジャングルと化していた畑のトマトを剪定して添え木をし、10Gbのはずなのになぜか1.99Gbしか認識していなかった女房のPCを、ほとんどぶち壊さんばかりのところまで行きながら何とか直し、ツランギの街へ牛乳やパンを買いに行ったら、もう一日が終わっていた。まぁ、なんともな日常だこと。
「釣り師の言い訳」をやらないといけないのに、なかなかアイデアが出てこない。一緒に釣りに行っていた同行者にょさんは、没になったやつが面白かったと言ってくれた。励みになります。うんつくうんつく考えます。頑張ります。
ちくしょう、書くぞぉ。

そんな私は、占いによると、こんなんでした。当っているような、いないような。

 

2月20日

日本から来た友達が、南島のとある川で随分といい釣りをしたみたいだ。その川のことを教えてくれたNZ在住の友人ですら経験したことがないくらいの美味しい目にあったらしい。そのことを友人と話していて、出た結論。

釣り場のそばに住んでいるからといって、いい釣りができるわけでない。

当然である。生活している以上働かなければならない。そして、そうそう仕事を休むわけには行かないのだ。それよりも、しっかりと長めの休暇を取って海外から来ている人の方が、余程チャンスに恵まれる確率が高い。なぜなら、天候や水量など、いちばんいい時を選んでそこに入れるのだから。
とまぁ、愚痴を言っても始まらないので、今週は、真面目にお仕事。

 

2月22日

昨日、テレビで面白い番組をやっていた。TV3の「Wild Asia」で、これはアジアの野生動物を紹介するシリーズなのだが、昨夜は、北海道の湿原の動物、特にサクラマス、丹頂鶴を一年かけて追いかけて撮影したものだった。孵化した稚魚が、山女魚となり、川の中でいろいろな餌をとる場面など、おおおと声を上げながら見る。トビケラへのライズ、カゲロウのニンフを食べるところなどは、ほとんど絶叫状態。またなぜか、バイカル湖も出てきたのだが、そこのトビケラのハッチが凄かった。ピューパが水中を泳ぐシーン、そしてそのあとには石の上で羽化するところなどがあり、ビデオにとっておけばよかったとあとで臍を噛むことしきり。まさに「後悔、役に立たず」とはこのことなり。
 

2月23日

「釣り師の言い訳」を書き進める。これまでは400字詰め原稿用紙25枚だったのが、少し減って24枚弱となる。正確には24字詰めで393行。
昨日、一昨日といい調子で進み、もうあと28行で規定量というところまで書いた段階で、このままでは話が終わるのに最低でもあと90行は必要なことに気づく。駄目じゃん、それじゃ。慌てて、あちこちを削りにかかる。それでもどうにも足りないでの冒頭の部分をバッサリと切る。ちぇっ。ここはちょっと面白いと思ったのにな。

とりあえず、午後11時に書き終わる。そのまま引き続き、別の原稿に取りかかる。何としても、来週は海にイワシやサヨリ、アジを釣りに行きたいので、今は必死である。フライフィッシングももちろん面白いが、こういう餌釣りの、しかも食べるための釣りもかなり面白い。

 

2月28日

惨敗だぁ。無残だぁ。返り討ちだぁ。
タウランガまで日帰りで、雑魚釣りに行ってきた。狙うは、イワシ、アジ、サヨリ。バスロッド二本、餌、サビキなどを手に、女房と押っ取り刀で出かけていった。場所はどこがいいのかまるっきりわからないので、New Zealand Fishing Map Guideをつぶさに読み、「ベイトが沢山釣れる」という文を頼りにポイントを決める。結果は、惨敗。釣れたのは、親指大のアジ、手の平サイズのタイ、10センチあまりのカーワイ、5センチほどのブルーマオマオなど。数はまぁまぁ出たのだけれど、キープしたくなるような、できるような魚は皆無。今夜は、アジの開きに、サヨリの刺し身だと浮かれながら出かけたのに、結局、ラーメンになってしまった。とほほ。

九州の川辺川ダム建設で、地元の球磨川漁協が補償受け取りを拒否したそうだ。これで、ダム建設に待ったがかかるのかと思えば、なんと、国土交通省は、漁業権の強制収用も検討するとのこと。札束でビンタをはって、ダムを建てさせろ、そしたらこの金をやるぞといやらしいことをするばかりでなく、今度はそれを拒否したら、お前らの文句を言う権利なんか簡単に引っこ抜けるんだからなと脅かしにかかる。これは、保証金も貰えずおまけに漁業権も取り上げがいいか、それともおとなしく保証金を受け取ってひきさがるか、さぁ、どっちにすると脅迫しているのと同じだ。その、とんでもないやり口に唖然とする。
釣り人が、やれキャッチ&リリースだ、いや食べるのも文化だなどと、せせこましいところでぎゃあぎゃあいがみ合っているうちに、その横で釣りをする川自体がなくなってしまうのだ。そして、それに反対するための有力な武器であった漁協すら取りつぶされてしまうのだ。
頑張れ、日本の釣り人!
遊び方なんて、なんでもいいのだ。でも、遊び場を潰されちゃ、お終いだろ。違うかい?